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マルチブラケット装置/装置をつける5つの流れ
取り外しができないマルチブラケット装置(ワイヤー矯正)を歯に装着するには、「①歯面研磨、②バンド(帯環)の試適・装着、③ブラケットの装着、④ワイヤーの装着、⑤注意事項の説明」の5つの流れで行います。所要時間は60~90分程度です。
今回は、マルチブラケット装置を装着するまでの5つの流れについて詳しく解説します。
目次
マルチブラケット装置とは

歯の表面に「ブラケット」を装着し、「アーチワイヤー」の力を利用して歯並びを整えていく矯正治療の装置です。あらゆる不正咬合に適応することができるため、矯正装置のなかでも歴史が古く現在でも多くの患者さんが使用しています。
マルチブラケット装置は固定式の矯正装置になります。患者様自身で取り外しのできるマウスピース型矯正装置と違って、歯に接着剤でブラケットを装着するので、治療期間中はずっと装着されたままになります。
装置がつくまでの流れ
はじめて旭川公園通り矯正歯科を訪れてから、実際にマルチブラケット装置を歯に装着して治療を開始するまでには、いくつかのステップが必要になります。
①初診カウンセリング

問診表をもとに歯並びや口元のお悩みを確認し、矯正医と歯科衛生士が実際に口腔内の確認をします。
その後、おおまかな治療の流れや装置の種類、料金や支払い方法などについての説明を行います。
②精密検査
初診カウンセリング後、当院での治療をご希望いただいた方は全員精密検査が必要となります。
- 口腔内スキャン
- 口腔内・顔面写真撮影
- レントゲン撮影(パノラマ・セファロ・正面・手根骨)
- 歯科用CT撮影
これらのデータは、歯科医師が治療計画を作成するうえで非常に重要な情報となります。精密検査については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。
③診断

最短で1か月後、精密検査のデータをもとに作成した治療計画について歯科医師より説明があります。現状の問題点を写真や資料を用いて説明し、患者さん自身に把握していただきます。その後、当院で考えられる治療計画をすべて提示し、それぞれのメリット・デメリットをお話しした上で、どの方法や装置で治療を行うのかどうかを患者さんに決めていただく、インフォームド・チョイスを行っています。
治療計画のなかに抜歯や歯の被せ物に関連する処置などが含まれている場合は、一般歯科への紹介状のお渡しがあります。矯正装置をつける前に、処置が必要なものは先に行ってきてもらいます。
④装置装着
事前準備が整ったところで、装置を装着していきます。初診カウンセリングから装置装着まで順調に進む方で、平均2か月前後かかります。(期間は、抜歯の有無や予約希望日などによって前後します。)
装置をつける流れ
いよいよ実際にお口の中にマルチブラケット装置を装着することになります。マルチブラケット装置が実際にお口の中に装着されるまでは、5つの手順が必要となります。
①歯面研磨

当日、装置を装着する予定の歯を機械で磨いていきます。プラーク(歯垢)や歯石などがついていないきれいな歯の状態で装置を装着するためです。
歯面研磨は必ず行いますが、歯医者に来る前には、事前に歯磨きをしてから来院することをおススメします。
②バンド(帯環)の試適・装着

バンドは大きな矯正力がかかる大臼歯(奥歯)に装着する装置です。上下左右であわせて4~8か所に装着する場合があります。

まずはじめに、歯の大きさに応じた既成バンド(シームレスバンド)を、最適なものを選択するために試適を行います。その後、バンド本体にブラケットやチューブを電気溶接して歯に歯科用セメントで装着していきます。
試適のタイミングで、歯と歯の間が狭くバンドが入らない場合は、セパレーション(歯間分離)という工程が追加される場合があります。セパレーションとは、歯と歯の間に隙間を作る処置のことをいいます。歯と歯の間に、セパレーション用のゴムを挟みます。挟んだゴムの力で、早ければ数日で歯と歯の間に隙間が開いてきます。
③ブラケットの装着

ブラケットはワイヤーを維持するための装置で、歯に直接接着するダイレクトボンディングという方法で装着していきます。ワイヤーの力によって変形しないように強固にできています。
装着前の準備として、唇が歯に当たらないようにするためにアングルワイダーをつけていきます。
つける部分を乾燥させるためにエアー(風)をかけて歯が乾いた状態にします。
歯面へのブラケットの接着のための前処理としてエッチングを行います。エナメル質表面を酸処理することで接着効果を高めることができます。20秒後、水で洗い流し再びエアーをかけて乾燥させます。

ブラケット本体にスーパーボンドとよばれる歯科用接着剤をつけ、歯科医師が歯に直接接着していきます。簡便さから広く行われていますが、ブラケットの正確な位置決めはむずかしいです。
すべてのブラケットが装着後、5分間接着剤が固まるまで待ちます。
④ワイヤーの装着

ワイヤーは主に矯正力を発揮するために使用されます。材質や太さによってさまざまな特性を持つワイヤーがあり、治療の過程に応じて歯科医師が選択します。

ワイヤーの長さを調整し、ブラケット一つひとつに結紮(けっさつ)とよばれる作業をして固定していきます。このとき、ブラケットのスロット(溝)にきちんとワイヤーがはまっていないとワイヤーの矯正力がうまく伝わらないためしっかりと結紮することが重要です。
⑤注意事項の説明
装置がついたあとは、歯科衛生士より歯磨きの仕方や食事のポイントなど注意事項の説明を行います。

【食事】
装置がついて食べてはいけないものはありません。しかし、食べ方に工夫が必要なものがあります。
お肉や野菜など硬さのあるものは、食べる前に小さく細かく切ってから口に運び奥歯でしっかり噛んで食べるようにしてください。前歯でかみ切ろうとすると、付加がかかり装置が外れやすくなる原因となります。じゃがりこや焼き鳥など注意!
お餅やチューイングガムなど歯にくっつきやすものも注意が必要です。大きな塊が装置にくっつくと、はずそうとするときに装置も一緒にくっついて外れてしまう可能性があります。上に同じく、食べる前に小さく細かくきってから食べるようにしてください。
【痛み】
装置がついたとき・毎回の治療後、歯を動かしていくための矯正力が加わります。そのため、来院後から2~3日から1週間程度が痛みのピークとされ、歯が浮いたような痛みが生じる場合があります。痛みの程度や感じ方は個人差があるため、一概にどのくらいの痛みと伝えることが難しいですが、この痛みはピークをすぎると徐々になくなっていきます。
歯が動くことによって生じる痛みのため、我慢ができる程度であればそのままにしておいたほうが治療は進みやすくなります。しかし、まったくご飯が食べられない・夜寝られないなど日常生活に影響が出てくるようであれば市販の痛み止めを服用していただいて構いません。1週間をすぎても症状が変わらないようであれば、一度ご連絡ください。
【歯磨き】
ブラケットの周り・ワイヤーと歯の間・歯と歯の間は汚れが特につきやすい部分です。理想は、毎食後必ず歯磨きを行い口の中に食べ物のカスなどが残っていない状態を保ってください。
矯正治療中に虫歯がみつかった場合は、一時的に治療が必要な部分のみ装置を外し、一般歯科にて虫歯治療を行ってきていただく流れになります。虫歯治療の期間によっては、矯正治療全体の進み具合にも影響が出てくることがあるので日々の歯ブラシが重要となります。
【口内炎】
装置が口の中にある状態に慣れるまでは、違和感を感じる方がほとんどです。またブラケットが頬や唇にあたり、口内炎ができてしまうこともあります。当院では、対処法としてワックスのお渡しをしています。当たって痛い部分の装置にワックスをつけることで、痛みを軽減させることができます。
【装置が外れた・装置が当たって痛い場合】
ブラケットがとれてしまった、ワイヤーが抜けてしまったなどの状態になった場合、基本的には痛みがなければ次回の来院までそのままにしていただいて問題ないです。ただし、次回装置を外す予定になっている・治療から2~3日しか経っていない場合は再度来院していただき付け直しなどの処置を行います。
ワイヤーが頬にささる・当たっていたい箇所があるなど痛みを伴う場合は、電話連絡後はやめに来院していただくことをオススメします。治療の進みにともなって、ワイヤーが伸び頬にささるなどの場合ワイヤーをカットすることで痛みを除去することができます。
所要時間
初回の装着は、60分前後かかります。2回目の装着は、装置の装着とワイヤーの交換があるため60~90分前後かかります。
装置は上下にわけて2回の来院で装着していきます。初回装着月から次回でつく場合や、数か月空く場合があり治療内容によって歯科医師が判断していきます。
まとめ
装置が実際につくまで不安がある方が多いと思い、装置が付くまでの流れを解説しました。旭川公園通り矯正歯科では、診断時に今回の流れをまとめた用紙をお渡しして患者様に次回の流れを把握してもらったうえで装置の装着を行っています。
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