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ワイヤー矯正/ブラケットが外れる原因と対応方法

ブラケットやワイヤーなどの矯正装置が外れてしまうのは、矯正治療中には起こりやすいトラブルのひとつです。食事や歯並びが原因だったり、装置をつけるときの防湿が不十分だったりと原因はさまざまです。装置が外れてしまった場合の対応方法についても解説していきます。

装置が外れることはよくあるのか?

矯正治療
ブラケットを装着する様子

矯正装置が外れることはよくあるのか?ということに対しての答えは、「良くある」です。なぜなら、矯正器具は外すことを前提に装着されているからです。

特に、マルチブラケット装置(ワイヤー・ブラケット)を装着したはじめのころは矯正装置が外れやすい傾向にあります。人によっては何度も矯正装置が外れてしまうこともあり、歯科医院選びを誤ってしまったのかと不安になる方もいらっしゃるかもしれません。

矯正装置の一つであるブラケットは、歯の表面に歯科用の接着剤を使用してくっつけていますが、動的治療(歯を動かしてきれいに並べる期間)が終わったら全ての装置を外します。つまり、矯正治療が終わったら全てきれいに外せるくらいの接着力でつけています。外したいときに外れないと困ってしまいますから、ある程度外れやすい性質を持っていると思っていてください。

装置が外れる原因と対応方法

矯正治療中に何度もワイヤーやブラケットが外れてしまうと、ストレスになりますよね。何度もワイヤーやブラケットが外れる原因としては、以下のようなものが考えられます。

硬いものやくっつきやすいものを食べた

矯正治療中に食べてはいけないものはありませんが、食べ方に注意が必要なものがあります。

骨付き肉などはほぐして食べる
かたいおせんべいは手で割ってから食べる

おせんべいやお肉などのかための食べ物は、噛んだ時に想像以上の負荷がかかります。人間は自身の体重に相当する咬合力があるのでブラケットのある部分に必要以上に負荷がかかり、ブラケットが外れる原因となります。

お正月は装置が外れやすい食べ物のオンパレード!

くっつきやすいお餅やお菓子も、ブラケットにくっついて外そうと思ったときに同時に外れてしまう可能性があります。

これらのものを食べるときは、食べる前に小さく細かく切ってから奥歯でしっかり嚙んで食べることをおすすめします。くれぐれも、前歯でかみ切ったりしないようにしてください。

過蓋咬合(ディープバイト)などの不正咬合

過蓋咬合
過蓋咬合(かがいこうごう・前歯のかみ合わせが深い)

過蓋咬合(かがいこうごう・ディープバイト)とは、かみ合わせが深く、噛んだ時に上の歯が下の歯に大きくかぶさってほとんど見えない状態の歯並びをいいます。

深く咬み合っていると、ブラケットを接着したときに下の前歯に干渉しやすく、ブラケットが外れる原因になってしまいます。

このような歯並びのひとは、まずはじめに全ての歯にブラケットをつけずに、かみ合わせを浅くしてからブラケットをつけることが多いです。

被せ物やセラミックの歯が多い

金属の被せ物やセラミックの歯は、天然の歯と比較して矯正装置が外れやすい傾向にあります。
原因として考えられるのは、装置を装着する際に使用する歯科用接着剤と金属・セラミックなど人工の歯に使う素材との相性があまりよくないということが挙げられます。

対応方法として、接着剤の種類を変えたり一時的に仮歯にするなどの処置が必要になることもあります。

無意識に触ってしまっている

ブラケットやワイヤーなどの矯正装置が装着されると、中には装置が気になって日常的に舌で触ってしまう方がいます。このように弱い力が慢性的に掛かることで、ワイヤーの変形やブラケットが外れてしまう原因になることもあります。

時間がたてば装置に慣れて気にならなくなることがほとんどです

特に装置を装着してからまだ日が浅く、慣れていないお子さんの場合、無意識に触ったりしているケースが多いので、目に入ったときに声掛けをするなど対策が必要です。

歯磨きが不十分

歯の表面にプラーク(食べかすなどの汚れ)が付着していたり、むし歯ができかけていたりすると、ブラケットの接着力も弱まってきてしまいます。矯正治療中は、ブラケットのまわりやワイヤーと歯の間などプラークや食べ残しが付着しやすい環境になるため、より丁寧なブラッシングが大切になっていきます。

矯正治療
矯正用歯ブラシ・歯間ブラシ

歯ブラシだけではなく、歯間ブラシやフロスといった補助器具なども使用しながら歯磨きをしてください。

防湿・乾燥不足

歯科用接着剤は水分に弱いため、ブラケットを装着するときは歯の表面に唾液がつかないよう防湿する必要があります。特に子どもなど唾液の分泌量が多い人は防湿するのが困難な場合があり、十分に防湿できていないとブラケットが外れる原因になることもあります。

外れてしまったとき

矯正装置が外れてしまった場合、まずは歯科医院に連絡することが大切です。
休診日や時間外の場合の応急処置として自宅でできる対応法をご紹介します。

ブラケットが外れた

ブラケットが外れている
真ん中左の1つブラケットが外れています

歯科矯正用粘膜保護剤(保護用ワックス)を外れた部分に使用することができます。痛みがなければ、次回予約までそのままにしていただいても問題ありません。ただし、治療にきてから1週間以内や次回装置を外す予定があるなどであれば、予約をはやめて来院していただく必要があります。

ワックスは初回装着時に全員にお渡ししています。

ワイヤーが外れた

ワイヤーが外れている
左端の装置からワイヤーがぬけています

歯科矯正用粘膜保護剤(保護用ワックス)を破損部に使用することができます。
または、ワイヤーが細く柔らかい時期であれば爪切りやニッパーなどで切断することもできます。

外れたままだとどうなるか

ワイヤーやブラケットが外れたまま数週間、1ヶ月と長期間に渡って放置すると、場合によっては後戻りが起こる・思わぬ方向に歯が移動してしまうなどのリスクがあります。このようなトラブルを回避するためにも、矯正装置が外れた際には自己判断で放置しないで歯科医院に相談してください。

連絡前に確認しておくと良いこと

ワイヤーやブラケットが外れたら自己判断せずに、歯科医院に連絡して指示をもらうことが一番です。状況から、すぐにクリニックに来院した方がいいケースと、次回予約までそのままで良いケースにわかれます。

歯科医院に来院できない場合でも、自分でできる応急処置の方法を教えてもらえるので連絡して指示を仰ぐことが大切です。

歯科医院に連絡する際には、以下の項目を伝えるとより正確な指示をうけることができます。

  • 外れた部分(上下左右・前歯奥歯など)
  • 何が外れたのか
  • いつ外れたのか(なにをしているときなど)
  • 痛み・違和感などの症状の有無

まとめ

ブラケットやワイヤーが外れてしまう原因はさまざまあり、それぞれの対策をすることで外れるリスクを減らすことができます。

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