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矯正治療/顎間ゴムの役割
ワイヤー矯正やマウスピース矯正の治療途中に顎間ゴムという小さな輪ゴムのようなものを使用してかみ合わせの調整などを行うことがあります。患者さん自身で取り外しを行う顎間ゴムの使用が、治療の成功を大きく左右することも…意外と重要な顎間ゴムの役割について解説します。
目次
顎間ゴムとは

矯正治療の中盤から終盤にかけて矯正医から顎間ゴム(がっかんごむ)の使用指示がある場合があります。インビザラインなどのマウスピース矯正では、治療の序盤から必要になることもあります。顎間ゴムの使用は、上顎の装置と下顎の矯正装置にまたがって歯を動かすためのゴムを引っかける治療が必要な場合にのみ行うため、矯正治療を行っている人全員が必要なわけではありません。顎間ゴムは、ワイヤー矯正・インビザラインなどのマウスピース矯正・リンガル(裏側)矯正など矯正装置の種類にかかわらず使用されます。
目的
- 顎間関係の前後的位置の改善
- 上下顎の歯を噛ませるため
- 細かいかみ合わせの調整
- 顎矯正手術後のかみ合わせの安定
など、患者様によって様々な目的があります。
種類
ゴムの大きさの種類やかけ方の違いによって歯の動きをコントロールすることができます。ここでは、ゴムの掛け方の例をお見せします。
Ⅱ級ゴム

上顎の前歯部あるいは犬歯(糸切り歯)から下顎の臼歯部(奥歯)に向かってかけるゴムかけの方法です。主に、上顎前歯の舌側移動、上顎犬歯・臼歯の遠心移動、あるいは下顎臼歯の近心移動などが必要な場合に使用されます。
Ⅲ級ゴム

上顎の臼歯部(奥歯)から下顎の前歯部あるいは犬歯(糸切り歯)に向かってかけるゴムかけの方法です。主に、下顎前歯の舌側移動、下顎犬歯・臼歯の遠心移動、あるいは上顎臼歯の近心移動などが必要な場合に使用されます。
垂直ゴム

上下顎間にほぼ垂直にかけるゴムかけの方法です。開咬(かいこう・奥歯が噛んでいるのに前歯がかみ合わない状態)の治療や、顎変形症の治療で行われる顎矯正手術後の顎の安定をはかるためにも使用されます。
交叉ゴム
一方の唇側から対顎の舌側に向かってかけるゴムかけの方法です。鋏状咬合(はさみじょうこうごう・シザーズバイトともよばれます)の治療に用いられます。
斜めゴム
前歯部において上下顎間の唇側に斜めにかけるゴムかけの方法です。正中(上下の歯のまんなか)を合わせる場合に使用されます。
使用時間・期間
実際に顎間ゴムを使っていくとなると気になるのは、使用時間や使用期間ですよね。治療の内容によってさまざまですが大体のかたは以下の指示になることが多いです。
使用時間

患者さまのお口の状態や矯正医の指示により異なりますが、基本的に食事と歯磨きのタイミング以外は使用してもらうことが必要です。
ただし、顎間ゴムのかけ方によっては口が開きづらくなり会話がしにくくなってしまう場合もあります。お仕事や日常生活に影響がありそうな場合は、自宅にいる時間など使用できるタイミングで使用をお願いすることもあります。ゴムの効果が十分にでてきた時期には、就寝時のみの使用へと変更があったりします。
使用期間

ゴムの効果が歯並びに十分にでてきたときが使用中止の合図となるため、一概に何週間、何か月とはお伝え出来ません。できるだけ長い時間顎間ゴムを使用していただければその分効果が発揮され、結果的に使用期間を短くすることができるかもしれません。
交換頻度

1日1回は必ず新しいゴムに交換してください。
取り外しのたびに交換していただいても問題ありません。左右どちらかのゴムが切れてしまった場合は、片方だけ交換せず、左右両方交換してください。左右でゴムの強さを均等なものにするためです。
ゴムは一袋に100個入っています。4~8週の来院のタイミングで1日1回交換してもなくなることはないので安心してくださいね。

ゴムかけは最初、鏡をみながらゴムをかけるフックの位置を確認しながら行ったり小さい口のなかで行うものなのでゴムの取り外しに時間がかかることがあり大変と思ってしまうかたもいらっしゃるいると思います。ですが、毎日同じようにゴムかけをおこなうことによって、次第に鏡や補助器具がなくても指でスルスルとかけれるようになる方がほとんどです。
最初は大変に思ってしまうこともあるかと思いますが、がんばって使用していきましょう!
注意点

顎間ゴムに治療がはじまってすぐや新しい強さのゴムに変更があった後は、ゴムに慣れるまで顎の痛みなどがでる場合があります。顎の痛みが出た場合は、その日の使用を中止し、痛みが治まれば使用を再開してください。
使用を続けるうちに次第に慣れていくことがほとんどですが、使用が難しい場合はご連絡ください。使用時間を短くしたり、ゴムの強さを弱いものへと変更するなどして対応します。

ラテックス(天然ゴム)アレルギーをお持ちのかたには、ラテックスフリーの顎間ゴムの用意もありますのでスタッフにお声がけください。
まとめ

ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも治療に使用することがある顎間ゴムについて解説してみました。矯正治療中に患者さん自身で取り外しが必要な治療になります。多少の煩わしさを感じることもあるかもしれませんが、よりよい歯並びやかみ合わせをつくるためにご協力をお願いします。