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矯正治療/バンド(帯冠)の使用目的

矯正治療では、【バンド(帯冠・たいかん)】とよばれる、金属製のリングのような装置を主に奥歯に装着して使用することがあります。歯に、より強固に矯正装置を装着する際に使用されることが多いです。

バンド(帯冠)とは

バンド
バンド:上下とも左から2番目の歯に装着されています

バンドとは、主に第一・第二大臼歯とよばれる奥歯(前から数えて6・7番目の歯)に使用する金属製のリングのことをいいます。さまざまなサイズがあるので、患者さまそれぞれの歯の大きさに合ったものを探して装着します。

材質は、ステンレススチールやニッケルクロム合金のことが多いです。

バンドは、歯に指輪をしたような状態で歯のまわりを覆いますので、矯正装置が外れにくくなります。ですがこのバンド、歯と歯の間がもともと広い場合はそのまま装着することができますが、

  • 歯茎付近まで装置が接近するので、慣れるまでは歯茎に多少の違和感がある
  • バンドを入れるために、隣接している歯との隙間を空ける必要がある

などといった方もいらっしゃいます。その際に必要な処置については、後述のメリット・デメリットの項目で解説します。

バンド(帯冠)の使用目的

近年、接着剤の進歩により強力な接着力が得られるようになったため、バンドを使用せず大臼歯にチューブやブラケットを直接歯に装着すること(ダイレクトボンディング法)も多くなりました。
そんななか、バンドを使用する目的としては、

  • 第一・第二大臼歯に歯と異なる素材の詰め物や被せ物がある
  • 通常の矯正装置が付きにくい(歯の性質などにより)
  • 通常の矯正装置だけでは外れやすい(治療内容により)
  • 歯列の拡大など奥歯で固定することで矯正装置の力を強くしたい

などがあげられます。

セラミックの歯や銀歯はブラケットが外れやすいため、大臼歯以外でもバンドを使用する場合があります。

メリット・デメリット

バンドを使用するにあたってのメリットとデメリットは以下のようなものがあげられます。

メリット

矯正装置の脱離防止

歯の周囲を覆うのでブラケットと比べ歯に接着している面積が広いので矯正装置が外れにくくなり、装置が外れることに伴う、来院や不快感のストレス・リスクが軽減されます。

強力な固定源を確保することができる

大きな矯正力が適用される大臼歯(奥歯)に用いられることがほとんどで、矯正装置の固定部となります。しっかりとした固定部があることで、さまざまな歯の動きに柔軟に対応することができ矯正治療の成功へとつながります。

装置の効果が確実に見込める

バンドを併用して行うワイヤー矯正は固定式のため、患者さまに装置着脱の協力をしていただく必要がないため、治療の効果を確実に見込むことができます(来院頻度などに左右されることはあり)。

デメリット

セパレート(歯間分離)が必要な場合がある

歯と歯の間にすき間がなくバンドを入れるスペースが足りない人は、セパレート(歯間分離)という処置を行ってからバンドの装着を行う必要があります。

セパレート(歯間分離)とは、バンドを入れる予定の歯の前後に小さなゴムを入れ、バンドを入れるすき間を作っていく処置のことをいいます。すき間を作るために歯を動かしているので、2~3日違和感や痛みを感じる場合があります。

次回来院までにゴムが外れてしまった場合は、十分にすき間が広がった証拠でもあるためそのままにしていただいても構いません。ただし、ゴム装着後すぐに外れてしまった場合はご連絡ください。

バンドスペースが残ってしまう場合がある

歯の移動が終わったあとは他の矯正装置同様バンドを外しますが、バンドが入っていたところにすき間が残ってしまうことがあります。基本的には、自然閉鎖することが多いです。数か月様子をみても変化がみられない場合は、すき間を閉じるための再治療が必要になることもあります(当院ではマルチブラケット装置を再度つけるのではなく、マウスピース型のアライナーを使用する場合が多いです)。

バンド(帯冠)を使用した装置の種類

ワイヤーを使用して行うマルチブラケット装置のほかに、バンドを使用する装置はほかにもあります。

QH(クワドヘリックス)

上顎の歯列を広げる装置です。裏側からワイヤーのアームの押す力が加わることによって歯列が拡大されます。

LA(リンガルアーチ)

上顎前突牽引装置(MPA)を使用するためや、シザーズバイト(鋏状咬合)の治療や、埋まっている歯を引っ張ってくる治療にも使用します。

バンド装着の手順

  1. 歯の大きさは人それぞれ違うので、歯に合ったバンドのサイズを選んで試適していきます。(その際、歯の間のスペースが足りなければセパレート(歯間分離)を行います。)
  2. 研磨剤を使って歯面をキレイにしていきます。
  3. 試適したバンドにチューブを溶接し、バンドの内側に歯科用のセメントを均一に塗布します。
  4. バンドを歯に装着し、セメントがかたまるまで2~3分待ちます。
  5. 余分なセメントを除去して終了です。

バンド装着後は多少の違和感がありますが、次第に慣れていくことがほとんどです。我慢できないほどの痛みがある場合は、スタッフや担当医にお声掛けください。

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