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矯正治療/かみ合わせとバイトアップ

バイトアップとは、かみ合わせを浅くする処置のことを言います。バイトアップの方法はいくつかありますが、奥歯の噛む部分左右2か所にレジン(プラスチック)などを盛って上下があまり深く噛みこまないようにする方法がよく使われています。今回は、どんなケースでバイトアップが必要なのかを解説していきます。

バイトアップとは

バイトアップ
右端の青いかたまりがバイトアップ

冒頭で記述した通り、バイトアップとは、噛み合わせを浅くする処置のことを言います。噛んだときに矯正装置が当たって外れたり、壊れたりしてしまうことを避けるため、あるいは奥歯が接触することで治療の妨げにならないように行います。

歯科用語でバイトとは「噛み合わせ」を示し、アップは「上がる」という意味があります。

ワイヤー矯正(表側)
リンガル矯正(裏側)

バイトアップは表側のワイヤー矯正や裏側のリンガル矯正で使用することがほとんどです。透明のマウスピースを使用するインビザラインやその他のマウスピース矯正ではバイトアップを使いません。

バイトアップを盛り付ける場所は奥歯の2か所に装着することが多いです。前歯より奥歯の方がレジンの接着面を確保でき、外れにくく安定感があります。

バイトアップの素材

当院で使用しているレジン

バイトアップはレジンというプラスチックに似たような樹脂素材で処置をします。医療用の樹脂は安全性があり強度が高いです。旭川公園通り矯正歯科では、光を当てて固まる光重合形のものを使用しています。

バイトアップが必要ではなくなったときには、簡単に除去できる素材が使われています。

バイトアップが必要なケース

バイトアップは必ずしもワイヤー矯正・リンガル矯正を行うかた全員に行われるわけではありません。バイトアップが行われる可能性のある歯並びは以下になります。

かみ合わせが深い(過蓋咬合)

かみ合わせが深いが深いことを過蓋咬合(かがいこうごう)といい、下の歯に覆いかぶさるほど上の歯のかみ合わせが深い歯並びのことをいいます。歯科用語で「ディープバイト」「オーバーバイト」などとも呼ばれます。

正常な噛み合わせの場合、「イー」と口を開けたとき、上の前歯は下の前歯を2~3mmくらい覆っているのが理想です。下の前歯の2/3以上を覆っている場合は、過蓋咬合という状態になります。

もともとの噛み合わせが深いので、ワイヤー矯正のブラケットを装着すると歯に当たって外れてしまう可能性があります。そこでバイトアップをすることで本来の正しいかみ合わせの高さまで噛む深さを調整し、ブラケットが外れないようにします。

かみ合わせが深ければ深いほどバイトアップの量を多くする必要があるため、違和感をより感じやすいと言われています。

鋏状咬合(シザーズバイト)

鋏状咬合(はさみじょうこうごう)の別名はシザースバイトといいます。英語でシザースとはハサミを意味し、ハサミのように上の奥歯が外側に、下の奥歯が上側に入り込み噛み合わせがズレている状態です。

そのため、食べ物を上手く噛めず頬の内側を噛んでしまいがちになります。口の中が痛くなると食事することにストレスを感じたり、正常な噛み合わせの方だけで噛もうとしたりすることが多いです。

このかみ合わせもブラケットと歯が当たって矯正治療の妨げになってしまうことがあるので、バイトアップを行ってブラケットとぶつからないように調整することがあります。

交叉咬合(クロスバイト)

交叉咬合(こうさこうごう)とは、かみ合わせの一部が上下で逆になっている状態を指します。

原因は様々ですが、噛み合わせが逆になっているので食べ物を噛みづらい傾向があります。歯並びの一部が反対に噛んでしまっているため、放置すると口元やアゴに歪みが生じてしまう可能性もあります。

このケースでもブラケットと歯が当たってしまう傾向があるため、バイトアップで対応することがあります。

使用する期間と費用

バイトアップが必要な期間は、患者さんの歯並びの状態によって期間は異なりますが、おおよそ3~6か月ほどのことが多いです。個人差はありますが、1~2週間で慣れる方が多いと言われています。

旭川公園通り矯正歯科では、バイトアップを行うことによって追加費用がかかることはありません。バイトアップを行った診療日も、通常の処置料のみのお支払いとなります。

注意点

バイトアップを行うことによる注意点を以下にまとめていきます。

違和感がある

バイトアップを行うと奥歯の噛み合わせが高くなるので、噛んでもほとんど上下の歯が当たらず噛めないということが起きます。そのため、唇が閉じにくかったり噛み合わせに違和感が生じやすくなります。噛み合わせが普段と違うことでアゴが疲れやすかったり、頭痛や肩こりなど全身の不調となって現れてくることも場合によっては起こります。

全身状態の変化に加え、噛めないので食事がしづらい状況に陥りやすく、大きなストレスとなってしまう可能性があります。矯正治療を進める中で、このバイトアップが一番きつかったという方もいるぐらいです。

うどんやラーメンの麺類を噛み切れない、ほうれん草やキャベツなどの葉物がすりつぶせないといった食事のしにくさは、思いの他しんどく感じてしまうものです。厚みのあるお肉や、ゼリーやプロテイン、おかゆなど噛まなくてもいいものを食べるようにするなど工夫が必要になってきます。

次第に慣れてくることがほとんどですが、どうしてもつらい場合は一度医院にご相談ください。

色が目立つ

バイトアップはクリニックによって使用するものは異なりますが、青色の材料を使用することが多いです。奥歯の噛み合わせの面に装着するので、大きく口を開けると青いガムのような見た目の材料が見えてしまう可能性があります。

人前で喋る接客業の方や営業マン、プレゼンなどをする機会が多い商社勤めの方などはバイトアップしているのが目立たないか心配になるかもしれません。

ただ、基本的には奥歯にのみ接着するため、口の中を覗くようにしないと見えません。相手に気づかれることはほとんどないでしょう。

むしろ、バイトアップよりも通常のワイヤー矯正のほうが目立つと感じることが多いです。

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