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子どもの出っ歯、その原因と治療方法

出っ歯はできるだけ早い時期に治すことをお勧めします。低年齢のうちに矯正治療を始めれば、出っ歯の根本原因から治すことができるからです。成長終了後では原因から治すことができず、抜歯や手術しなければならない可能性も高くなります。旭川公園通り矯正歯科では低年齢から行う出っ歯の治療を行っておりますので、ぜひ早い時期にご相談ください。

出っ歯はどのような症状?

子どもの場合でも大人の場合でも、上の歯が前に出すぎている状態を「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」といい、一般的には「出っ歯」ともいわれています。上の歯が前に出た場合だけではなく、下あごが後ろの位置にあることで(相対的に)上の歯が前に出ているように見える状態も同様に「上顎前突」といいます。

奥歯をかみ合わせて「イー」をした時に、正面から見ると上の前歯と下の前歯の中心線が一致していて、下の前歯が上の前歯に少し隠れている状態が正しい状態です。一方、出っ歯は「横から見ると、下の歯の先端が上の歯の裏側に接触していない」「歯が前に出すぎていて、唇のしまりが悪い」といった特徴があり、さまざまな症状を引き起こします。

横から見た上顎前突

正面から見た上顎前突

上顎前突(出っ歯)の子どもは、前歯でうまくものがかみきれません。横の歯でかみきろうとするなどして、かみ合わせが悪くなります。また、前歯が出ているので口が閉まりにくく、人によっては口呼吸(くちこきゅう、こうこきゅう)になったり、唇が慢性的に乾燥したりします。ものを食べる時にクチャクチャと音が出る原因になる場合もあるといわれています。また、大きな出っ歯の場合、通常のかみ合わせに比較して約2倍の外傷リスクがあるという報告もあります。

出っ歯になってしまう原因

① 成長や遺伝の影響

上顎前突(出っ歯)の主な原因には、大きくわけて「①上の前歯が前に突き出ている」「②上あご自体が前に出すぎている」「③下あごの成長が弱い」の3パターンがあります。日本をはじめとするアジア系の人は、一般的に下あごの成長が弱い人が多いという特徴があります。

親子で顔が似るように、もちろんかみ合わせにも遺伝の影響があります。お父さんやお母さん、また同じ家系に上顎前突(出っ歯)の傾向があれば、子どもに受け継がれる可能性も高くなります。

② おしゃぶり・指しゃぶり

長い期間おしゃぶりや指しゃぶりをしている場合は、おしゃぶりや指が物理的に前歯を前に押しだして出っ歯になってしまいます。3歳を過ぎても指しゃぶりをしすぎている子どもは、指を吸う力によって上の前歯が押し出されて上顎前突(出っ歯)になりやすくなるといわれています。ただし、「寝ている間にずっと指しゃぶりをしている」など、長時間(目安は1日6時間以上)の場合です。たまに指しゃぶりをするくらいでしたら問題ありません。なお、3歳までの指しゃぶりは歯並びにそれほど影響しないので、気にしなくても大丈夫です。

指しゃぶり

③ 口呼吸

口呼吸(くちこきゅう、こうこきゅう)だと口が常に開いている状態になります。通常、上の前歯は、外側からは唇が、内側からは舌が押し合い、その位置をキープしています。日常的に口呼吸をしていると、唇はポカンと開いた状態になり、外側から前歯を押す力がなくなってしまいます。その結果、舌が上の歯を外側に押し出してしまい出っ歯になります。

口呼吸

④ 舌のくせ(舌癖)

ものを飲みこむ時や発音するときにに舌が前歯を裏から押してしまう舌のくせ(舌癖(ぜつへき))が出っ歯の原因になります。

出っ歯の状態だと上の前歯と下の前歯の間にすき間があるため、ものが飲み込みにくかったり、正しい発音ができなかったりします。一度出っ歯になると、無意識のうちにつばを飲み込むときやおしゃべりをするときに舌で前歯のすき間を埋めるようになります。これによって、さらに前歯を押し出してしまい、出っ歯をひどくしてしまうこともよくあります。

舌のくせ(舌癖)

このように、出っ歯の原因はさまざまありますが、一度出っ歯になるとどんどん症状が悪化していく方も多いです。このことからも、できるだけ早めに出っ歯の原因から解消してあげる必要があるといえますね。

出っ歯の治療方法

上顎前突(出っ歯)の治療方法は、原因によってさまざまです。

あごの成長に起因する上顎前突であった場合、まずはあごの成長コントロールを行います。この治療は成長期にしか行うことができないため、こどものうちから矯正治療を行うメリットがとても大きくなります。基本的には、上顎の成長抑制と下顎の成長促進をすることで、あごの前後的な位置関係を改善していきます。一般的には、ヘッドギア機能的矯正装置(アクチバトールなど)と呼ばれる装置が適応になる場合が多いです。

ヘッドギア

叢生(そうせい=前歯がデコボコになっている)」や「過蓋咬合(かがいこうごう=かみ合わせが深く上の前歯が下の前歯を覆っている)」など、上顎前突(出っ歯)以外の問題を併発している場合は、これらの問題も併せて治療していくことが多いです。このようなときは、マルチブラケット装置マウスピース型矯正装置を使って歯のデコボコを治しながら、顎間ゴム(ご自身でお口の中に装着していただく輪ゴム)を併用してあごの成長のコントロールをしていきます。

マルチブラケット装置
マウスピース型矯正装置

口呼吸や舌癖などのくせが残っていると再発の可能性が高くなるため、お口の周囲の筋肉の正しい使い方のトレーニング(MFT=筋機能療法)を行う場合もあります。

このように、原因も多種多様な上顎前突(出っ歯)にはさまざまな治療方法があります。ここでは代表的な装置をあげましたが、これ以外にもたくさんの装置があります。旭川公園通り矯正歯科では、精密検査の結果をふまえて、患者様の症状とその原因に応じてベストな治療方法をご提案させていただきます。

出っ歯の治療はいつから始めればいい?

「6歳以上」が治療開始のひとつの目安

上顎前突(出っ歯)は、未就学児(6歳未満)の場合は治療の対象にならないケースがほとんどです。上顎前突(出っ歯)の主な原因である下あごは、身長が伸びる小学生以降にぐんぐん成長します。そのため上顎前突(出っ歯)の治療は、その時期に行うのが最も効果が出やすいといわれています。また、6歳くらいになると、6歳臼歯(第一大臼歯)や大人の前歯が生えてきて、矯正治療の計画を立てやすい時期にもなります。

6歳未満の段階で上の前歯が少し前に出ているくらいでしたら、急いで治療する必要はありません。成長するにつれてだんだんかみ合わせがが整ってくることもよくあります。

6歳未満でも治療が必要なケースも

まれに、6歳未満の子どもが上顎前突(出っ歯)の治療対象になることがあります。下あごが著しく後ろに下がっていたり、「ものを前歯でうまくかみきれない」「口が閉まらなくて、食べこぼしが多い」「言葉をうまく発することができない」など、生活に大きな支障をきたしている場合は、すみやかに矯正治療を開始する場合があります

また、上顎前突(出っ歯)の子どもは、他の症状を併発していることもよくあります。例えば「叢生(そうせい=前歯がデコボコになっている)」や「過蓋咬合(かがいこうごう=かみ合わせが深く上の前歯が下の前歯を覆っている)」などです。その場合は、上顎前突(出っ歯)の治療を待たずに、これらの症状を早いうちから治していく場合もあります。

まずは初診カウンセリングを

ただし、いずれにしても直接診断しないとわからないことが多いため、少しでもお子様の出っ歯の心配がある場合は一度当院を受診することをおすすめします。中には治療開始には早すぎる場合もありますが、その際は治療開始のベストタイミングまで経過観察をさせていただきます。

この記事のまとめ

  • 上顎前突(出っ歯)は、上の前歯が前に出た状態
  • ものが噛みにくいだけでなく、口呼吸や唇の乾燥の原因に
  • 放置するとどんどん出っ歯がひどくなる場合も
  • 上顎前突(出っ歯)の治療開始は6歳以上がひとつの目安
  • 治療方法はさまざまあるため、症状に合わせて選択していきます
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